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───…とは言ったものの。
「どうしようか……」
勢いで出てきちゃったし。
きっとたぷさん呆れてるよ。
「ガキくさ………」
ほんとは自分が一番嫌だ。
雨の音が次第に大きくなってきた。
「……スンヒョンおっぱ…」
小さな、本当に小さな声で名前を呼んでみた。
なのに──……
ぎゅぅ…………
「………寒い」
「………たぷ、さ……」
横を見ると
髪から雨を滴らせたたぷさん。
と同時に、深いキス。
「………ん…っ…」
「は……っ…」
周りには誰一人いない。
「………帰ろ…?」
唇をほんの少しだけ離す。
「……一番欲しいプレゼント…
まだもらってない…」
ちゅ、と、軽く触れるだけのキスをして
ぎゅっと私の右手を握る。
「………ごめんね、おっぱ。」
「…………家帰ってから」
やっぱり、怒ってるよね...
ごめんなさい………
ぎゅっと繋いだ右手に力を込めたら
たぷさんもぎゅっと握り返してくれた。
でも………
家に着くまで、
たぷさんに連れられて歩く私を振り返ることはなかった。
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