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「トリックに関しては、貴方にも話した通りですヨ。あの部屋は完全な密室ではなかった。そして、あの犯行はあの船上に居た者なら誰でも可能だということも、同じく話しましたよネ」
今、彼のスイッチが入ったのが晴仁にも分かった。探偵としての彼のスイッチが。
「僕は、探偵として最低なミスをしてしまいました。犯人に対してベラベラと得意気に推理を話したことは勿論ですが、もっと大事なことですヨ」
「それは――親しいという理由なだけで、それらの人を一切疑わないというミスですネ」「いや、人を信じるのはとても大切なことだとは僕だって思いますヨ?」
「でも、そんなことじゃ、ダメなんデス」「世の中、そんなに甘くないんデスヨ」「先入観など捨てなくてはいけないのデス」
「捜査の鉄則として、私情を挟んではいけないというのは有名ですよネ」「いやぁ、僕もまだまだ若かったといったところでしょうカ」
「ハル君……貴方のことは、本当に有能で、信頼のおける存在だと思っていましたヨ」「ワトスン君、なんて呼びたくなったこともあった程デス」
「君の情報収集能力――ハッカーとしての能力は、非常に素晴らしい。そのおかげで、どれほど推理の助けになったことでショウ」
「思い返せば、ハル君と出逢ったのは丁度6年前――
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