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「でも、まあ…あの顔見たらそう思っちゃうのも分からなくないけどね。」
ため息をついた日向の視線の先にいる大和田は、苦々しい表情で眉を寄せていた。
どちらかと言えば無愛想ととられる表情を見せることの多い大和田だが、ここまで盛大に顔をしかめているのも珍しい。
「まったく…今更こんなもの送りつけてきおって…」
表情同様苦々しく呻く大和田の姿に、日向は嫌な予感を感じる。
「まさか…借金の督促状とかじゃないよね…!?」
「えぇっ!?じゃ、じゃあお店取られて俺はどっかに売られてひなちゃんはふーぞくとかで働かされるの!?」
「あんたどっからそうゆう知識仕入れてくんのよ…?!でも、あり得ない話じゃないかも…」
「そ、そんな!俺イヤだよ!」
「二人揃って何を馬鹿な話をしとるんじゃ…!」
顔を見合わせて言い合っていると、大和田がしかめっ面のまま読んでいた手紙から顔を上げて唸った。
「だ、だってじっちゃん、借金取りに追われるんでしょ?」
「誰がそんなこと言ったんじゃ。わしは借金なんぞせん。」
「…それもそうよね。じっちゃんケチだし。」
「何じゃひな?」
「なんでもなーい!!」
じろりと睨まれた日向は慌てて視線を逸らす。下手な素知らぬふりで片づけを再開した姪をしばらく睨んでから、大和田は幸平に視線を送る。
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