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「…誰…?」
毛を逆立てて威嚇する獣のように、幸平は棘のある声で男に尋ねる。男は薄い笑みを張り付けたまま、芝居がかった口調でため息をついてみせた。
「君の所属組織の者ですよ。一年も行方不明で、探すのに苦労しました。」
「俺は、どこの組織にも所属してないよ。」
日向を立ち上がらせて後ろに庇いながら、幸平は身構えて男を睨みやった。
得体の知れない雰囲気をまとう男に、頭のどこかで警報が鳴る。
気を緩めてはいけない。
近づかせてはいけない。
―でなければ…失ってしまう―
不意に、昼間の女性の言葉が頭をよぎった。
「いいえ?君はちゃんと組織に所属していますよ。」
敵意を剥き出しにして睨む幸平に、男は気にした風もなく続ける。
「知らないよ。」
「お伝えする前に、望月博士が君を連れ出してしまったんですよ。君は本来組織に所属している身なんですよ?秘密地下組織『コレクター』にね。」
「『コレクター』…?」
「とうとう来おったか…!」
幸平と同じように日向を下がらせながら、大和田が渋い表情で呻く。
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