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「幸平、恐らくコイツ等が手紙に書いておった連中じゃ。」
「う、うん。」
男から目を離さないまま頷き、幸平は警戒を更に強める。その警戒する様が楽しいように、男は笑みを深めた。
「困ったものです。最新鋭の『兵器』を完成させた研究チームの筆頭が、その兵器をどこかへ隠して逃亡してしまったんですから。おまけに巧妙に情報を破棄・操作して、探し出すのにこんなに時間がかかってしまった。」
「兵器じゃと…?」
「おや、望月博士から聞かなかったんですか?」
訝しげに呟く大和田に首を傾げてみせて、口元だけで笑っている男は言い放った。
「そこにいる望月幸平君は、『コレクター』が生み出した戦闘用アンドロイド。我らの世界征服の為に、邪魔者を排除する殺戮兵器なんですよ?」
「え…」
告げられた内容に、幸平は息を止めた。
「何、それ…」
日向が掠れた声を漏らす音が、やけに響いた。
「…俺が…兵器…!?」
「噛み砕いた言い方をすれば、君は人殺しの道具なんですよ。」
「っ!!」
重ねて投げられた言葉は、幸平を愕然とさせるには十分だった。
その反応に満足したように、男は続ける。
「兵器が家庭用と偽って、よく一年も我慢できたものです。」
「そ、そんなの嘘だ!俺は…俺は兵器なんかじゃない!」
崩れ落ちかけた自分を叱咤して声を張るが、その声は震えていた。
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