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それを聞いた男は、笑みを深くして追い打ちをかける。
「では何故、私がこの扉を破壊する前に攻撃動作に気づいたんです?それに外にいる人数も把握しているようだ。私が何なのかも、分かっているのでしょう?」
「ど、どうゆうこと?」
困惑した面持ちで日向が尋ねるが、幸平はきつく結んだ口を開かない。
男の言う通り、幸平は彼が『何か』を分かっている。
目の前の男は、紛れもなく戦闘用のアンドロイドだ。家庭用ではあり得ない、攻撃動作の直前に聞こえた機械の駆動音がそれを証明している。
だが、それを聞き取ることは家庭用アンドロイドも含めた常人には不可能だ。
「そんなオーバースペックな家庭用アンドロイドが存在すると、本気で思ってますか?」
「…っ…」
問いかけに、幸平は顔を青ざめさせたまま答えない。仕方ないといった風に、男は視線を移す。
「ねえ?大和田行時さん?かつてアンドロイド工学に携わり、望月博士の助手を経験したことのある貴方なら、幸平君の身体能力の異常さに、気づいていたはずでしょう?」
「………」
「じっちゃん…」
男の問いに、大和田は悔しげに表情を歪める。その表情と沈黙は、今の状況では問いを肯定していることに他ならなかった。
「じゃあ、幸平は本当に…」
「さあ幸平君、戻りましょう。ここは君のいるべき所じゃありませんよ。」
「ば、馬鹿なこと言わないでよ!!」
蒼白の顔で黙ったままの幸平に手を伸ばしかけた男との間に立つように、怒声と一緒に前に出たのは日向だった。
「この子はあたし達の家族よ!兵器だかコレクターだか知らないけど、連れてなんていかせないんだから!」
「ひなちゃん…」
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