その2

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「馬鹿な…!怪人化して知性が残っとるだと…!?」 怪人化は戦闘用アンドロイドが無理な強化や特殊能力、あるいは特殊体質の付加によって起こる拒絶反応で、言葉の通りに怪物と化す。 本来ならばそれと同時に理性も消え、破壊衝動のままに暴れるはずなのだが、蛇の怪人と化した男は異形化した為か声にざらつきがあるものの、先程までと変わらぬ態度でその場に佇んでいる。 「怪人化ノ研究なんテ、表裏問ワズどこノ研究機関でも行ってマスよ。制御さエデキレバ、こんなニ優レタ兵器はいませンカらネ。」 どこか誇らしげに言い放ちながら、蛇男は腕を振り上げると手近にあったテーブルに無造作に落とした。 乾いた音を立てて、テーブルがあっさりと真っ二つに割れる。 「ケレド、気持ちガ少々高ぶるノが難点でしテネ!アア丁度いい!幸平君が悔いなく帰れルよウに、家族ごっこヲ終わりにして上げましょウカ!!!」 言い放つなり、蛇男の視線が倒れたままの日向に向いた。 「っ!や、やめろ!!」 言葉と動きで男の行動を察した幸平は、弾かれたように床を蹴ると体当たりをくらわせた。不意打ちに男がよろけた隙に日向を抱き起こすと、大和田に視線を向けた。 訳の分からない事態が立て続けに起こって混乱が重なっているが、今すべきことだけは分かっている。 「じっちゃん!逃げよう!!」 「分かっとるわ!」 「逃ガすと思いマすか!!?」 幸平に即答した大和田だったが、蛇男が体勢を立て直す方が早く、黒服達の包囲は未だにある。 「く…!」
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