その3

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日向を抱えた幸平と大和田が、女性に先導されるようにしてたどり着いたのは、商店街から少し離れた場所にある廃屋だった。 「ひなちゃん、ひなちゃん…大丈夫?」 「…うん…ありがとう幸平…」 心配そうにのぞき込む幸平に、日向は痛みを堪えているような弱々しい笑顔を返した。額が切れていて、そこから血が滲んでいる。 「う…」 「ああもう!何であんたが泣くの!こんなのかすり傷だから大丈夫よ!」 「だってぇ…!」 「さて、説明してもらおうかの、嬢ちゃん。」 ぐずぐずと泣き出した幸平とそれを苦笑混じりに慰める日向を一瞥してから、大和田は厳しい表情で女性を睨みやった。 「お前さん、何者じゃ?」 問いかけた大和田に、周囲に目をやっていた女性は無表情を向けると静かに口を開いた。 「私は秘密諜報機関『カウズ』遊撃班所属アンドロイド。コードネーム『水妖―セイレーン―』。『カウズ』首領と我が創造主たるドクター・インフィニティの命により、秘密地下組織『コレクター』の野望を阻止及び、望月幸平とその周辺人物の調査をすべく動いている。」 「つまり……味方?」 「『コレクター』の敵ではあるが、君達は今現在は単なる調査対象だ。柾日向。」 淡々と問いかけに答えてから、『水妖』と名乗った女性は幸平に視線を投げる。 『水妖』と目が合った幸平は、袖で目元を拭うと居住まいを正した。 「望月幸平。先程の奴が言っていた通り、君はかつて『コレクター』に所属していた科学者、望月幸造が造りだした戦闘用アンドロイドだ。」 「…っ…」 改めて告げられた事実に、幸平は感情がない交ぜになった表情で唇を噛んだ。
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