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「三つ目の…選択肢だ…」
「黙りなさい。」
「っ!」
首に巻き付いた尾が更に強く絞め上げるが、『水妖』は構わずに絞り出すような声で唸った。
「…み、っつ、めは…」
「黙りなさいと言って」
物理的に黙らせようと男が振りかぶったと同時に、『水妖』は右手を振るった。
次の瞬間に放たれた刃が、男の言葉と『水妖』を捕らえている蛇の尾を断ち切った。
刃は尾と一緒に地面に落ちると、ばしゃりと音を立てて水となって広がった。
それを待たず、『水妖』は着地と同時に振り向き様の回し蹴りを男にくらわせた。
「がっ…!」
十分な体重の乗せられた蹴りは、男を壁の向こうへ吹っ飛ばす。
それを確認する前に、『水妖』は咳込みながらその場に膝をつく。
「あ…大丈夫!?」
「動作に、支障は…ない。」
慌てて駆け寄る幸平に即答してから、『水妖』は顔を上げて真っ直ぐに幸平の目を見た。
「三つ目の選択肢は、戦うことだ。望月幸平。」
「…戦う…?」
「そうだ。何も捨てたくないのなら、後は戦うしかない。幸いと言うべきか、君には戦う力がある。兵器になる気はないと言った以上、残る選択肢は二つだ。」
複数の足音が近づいてくる。
もう既に、日向や大和田でも足音が聞こえる距離まで、迫っている。
「逃げるか、戦うか。」
「く…!」
『水妖』に吹っ飛ばされた男が唸りながら起き上がる。両断された尾を忌々しそうに見つめながら振った次の瞬間、何事もなかったように再び尾が生える。
「選べ。望月幸平。」
「俺は……」
「皆殺しにしなさい!この際動力炉が無事なら構いません!」
黒服達の先頭が着くか着かないかのタイミングで、男が声を張り上げた。
一番最初に姿を見せた黒服の一人が、手近にいた日向に向かって拳を振りあげる。
「ひな!!!」
「―っ!!」
逃げられるタイミングではない。
日向は思わず目を瞑った。
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