その3

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「………………?」 だが、覚悟した衝撃はいつまで経っても来ない。 「……幸平…?」 恐る恐る目を開けると、視界に入ったのはきつく拳を握りしめて肩で息をしている幸平の背中と、壁に文字通りめり込んでいる、日向に攻撃しようとした黒服の一人。 「……決めた。」 静かに、幸平は決意の言葉を吐き出す。 「戦う。」 誰かに言い聞かせるように。 「ひなちゃんもじっちゃんも…」 自分に言い聞かせるように。 「俺自身も捨てたくないから…!」 自分を奮い立たせるように。 「…いいでしょう…!」 決意の言葉に返答したのは敵対する男だった。 「力の使い方も知らない素人が、我等『コレクター』に刃向かうことがどれだけ愚かか、その身を持って分からせてあげますよ!!!」 怒声と共に、男が先程見せた蛇怪人の姿へと変化する。 同時に黒服達も咆哮をあげたかと思うと、一斉に蜥蜴を模したような怪人へと変貌した。 「っ!」 「臆するな。」 表情を強ばらせる幸平に、『水妖』が静かに言い放つ。
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