その3

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「ツカマエタ!!」 ノイズ混じりの嬉しげな声と同時に、巻き付いた尾が幸平を絞めあげる。 「う……!」 「幸平!」 「く…!」 日向の悲鳴を聞いた『水妖』が腕を振るって水の刃を放つが、刃が届く前に蜥蜴怪人がそれを阻み、最初に幸平が叩き伏せた者も含めて『水妖』に襲いかかる。 『水妖』はそれを迎え撃つが、幸平の方へ向かう余裕はない。 「こノまま絞メ殺しテアゲマスよ!!」 「やめて!!」 「ひな!くっ…!」 言葉の通りにしようとした蛇男に、日向が体当たりをくらわせる。 日向の行動にぎょっとした大和田も、幸平に巻き付いている尾に飛びつく。 だが蛇男は微動だにせず、日向と大和田を一度に振り払った。 「きゃ!」 「ぐ…!」 「ひなちゃん…じっちゃん…!」 「脆弱ナ人間が、私の邪魔をシナいでイただきたいナア!!」 倒れた日向に歩み寄ると、蛇男は日向の首を掴んで持ち上げる。 軽々と持ち上げられた日向は、恐怖の色が浮かんだ目で歪んだ笑みを浮かべる男を見下ろした。 目が合うと、蛇男は笑みを深める。 「サキニお前かラ絞め殺しテやろウカ!?」 「やめ、」 「幸平!!」 届かない手を伸ばしかけた幸平に、大和田が叫ぶ。 「その時計の起動コードは『ヘリオス』じゃ!!!」 「余計ナコトヲ!!」 忌々しげに唸り、蛇男は大和田に向かって日向を投げた。 受け止めるように腕を広げた大和田に日向が激突し、二人一緒に瓦礫に打ちつけられる。 「サキに虫ドモから始末してあげましょうかネ?うるさくて仕方ガナイ。」 ゆっくりと、幸平を尾で絞め上げたまま、蛇男は倒れた日向と大和田に歩み寄る。
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