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「ゆきじさんも、ああゆう若い子がいると助かるだろ?」
「いい年だもんなあ。」
「わしはまだ40じゃ。」
「あれ?そうだっけ?」
お約束の台詞の後で、カウンター席の常連達からどっと湧く笑い声。
商店街の住人である彼等と店主との付き合いは、軽口を叩きあう程度には長く気安い。
それでもゆきじと呼ばれた店主、大和田行時(ゆきとき)は眉間に寄ったしわの数を増やした。
「でもさ、本当に活発になったよな、幸平君。」
「そうそう。最初の頃は何だかぼんやりしてて、ちょっと危なかしかったけど。」
「今じゃアンドロイドだなんて、言われたってすぐ信じられないよ。」
世界に、『第二の人類』と呼ばれる人工生命体―アンドロイドが生まれてから三十年以上、当初は戦闘向けの能力だけを持たされていた彼等の中から、一般人と何ら変わりない身体能力を持つ家庭向けが生まれてからは、二十数年が経つ。
最初は戦闘向けと同じく徹底した管理下に置かれていた彼等も、近年では市民権を得て戸籍を持ち、一般社会で一般人と同じように生活をして、家庭を持つ者も増え始めている。
幸平も、そんなアンドロイドの一人だ。
「けど真面目な話、安心したんじゃないか?ゆきじさん。」
「…老後が、なんぞ言いおったら叩き出すぞ。」
「違うよ。あんな素直でいい子なら、ひなちゃんの相手にぴったりじゃないか。」
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