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「お見事!」
「流石だな幸平!」
「えへへ…」
常連達からの称賛の声に、幸平は恥ずかしげに苦笑してみせた。
「…ほら。あんなそそっかしい恋人はごめんだわ。」
そして一部始終を見ていた日向は、やれやれと溜め息をつく。
「ま、わしはお前さんがあいつに惚れてようがそうでなかろうがどーでもいいんじゃが、」
「じゃ何でこんな話するの…」
呆れ返った面持ちで肩を落とす日向に、大和田は幸平を一瞥してから言葉を投げる。
「あいつをただの『家族』と思うとってくれたら、それでいい。」
その声音にからかう色はなく、むしろ真剣な様子だった。日向は数瞬だけ気圧されたように黙ったが、すぐに息をついた。
「そんなの…当たり前じゃない。あたしとじっちゃんと幸平。家族三人で平穏に暮らせれば、でしょ?そう約束したじゃない。」
「約束って?」
「あんたのお父さんとよ。あんたが平和に平穏に暮らせますようにって話。」
「父さんと?」
「まあ…あたしとじっちゃんとで一方的にしたんだけどね。」
きょとんと首を傾げて会話に加わった幸平に、日向は苦笑混じりに頷いた。
実際、幸平が預けられた時に居合わせたのは大和田だけで、日向は彼の父親の顔を見ていない。
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