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太陽と空が分厚い雲で覆われたこの地で、ようやくアルテマ国の戦乙女を包囲した。
およそ一万のマルクス国の武装兵士たちに囲まれた彼女。
その姿は凛々しく、長い髪は風になびいていていて、青い瞳には迷いの無い覚悟を露わにしていた。
突如として彼女の纏う空気が変わった。
彼女の持つアルテマ伝国武具の一つ、神煉豪槍ヴァルハラが一閃したその刹那、包囲した兵士を吹き飛ばした。
「行くぞ!ヴァルハラ!」
彼女は一喝するとマルクス兵士の軍団に斬りかかっていく。
その振るう槍は、肉を斬り、骨を砕き、群れを殲滅する様は一騎当千。
太陽の無い荒野に悲鳴と絶命が響き渡る。
突然、彼女の槍が動きを止めた。
彼女の見開いた瞳の先には、一人の兵士が戦意を無くし立ち尽くしていた。
「まさか…アル?」
彼女の矛先は心の揺らぎを写すかのように静かに震えていた。
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