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「うーん、わたしもだんだん分からなくなってきた」
「確かに斬新だけどな。絶対に笑われるぞ」
というか、こいつは今日絶対に笑われていたと断言できる。
ありえない風体で現れた珍客相手に苦笑いをする美容師たちの姿が容易に想像できた。
よく入店拒否されなかったものだ。
「小市民はいつも挑戦者を笑う」
「残念ながら、それは努力している人間にしか当てはまらない言葉だ。よってお前に使用権はない」
「うへー。こりゃ一本取られた」
悔しそうに言うものの、なぜか楽しそうな足取りでリビングのドアを開けて入っていく灯。
俺はその、この世に何一つ悩みがなさそうな人間が繰り出す愉快げなステップの残滓を辿るように後へ続く。
「病院にも行ったんだろ。原因は分かったのか」
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