第一章

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ブレザーを脱ぎながら灯に訊いた。 「え? びよーいん?」 「違う。病院だ」 「あは、病院と美容院。発音が似てるから間違えちゃった、みたいな?」 「そんなアホな言い訳があるか! 単純に忘れただけだろ」 あ、忘れたと言えば、俺もサンマを買ってくるのを忘れていた。 「ひゃー。ごめーん」 灯は全く反省の色が見られない謝罪をしながらソファにダイブし、テレビの電源をつける。 まあ普通に元気だし、いつも通り馬鹿だし。 問題がないなら行く必要もないか。 そんな感じで俺は楽観視していたのだが、そうは問屋が卸さなかった。
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