第二章

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翌日の朝。 灯を起こすために部屋に入ると、呆然とした表情の灯が手鏡を持って立っていた。 自分で起きるなんて珍しいこともあるものだなと思ったものの、注視すべき点はそこにあらず。 「た、大志ぃ……。また色が戻った……」 その通り。 昨日、滅多に外を出歩かない灯がわざわざ美容院まで足を向け、黒に直してもらったその髪が、洗い流されたかのように白さを取り返していた。 これはどう考えてもおかしい。 ひょっとしたら灯は魔法使いか何かではないのかと、俺が疑いを持ってもおかしくないほどに異常だ。 親父に相談すべきなのかもしれないが、現在我が父は出張中で帰ってくるのは当分先である。 「よし、灯。お前、今日病院行って来い」
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