第二章

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図書室の中をうろついてみるものの特に読みたい本があったわけではなかった俺は、如何せん棚に所狭しに並べられている蔵書のどれが面白いのか見当もつかない。 とりあえず適度に頭のよさそうに見える文学作品でも手に取って流し読みでもしていようと考え、それらの本が陳列されている書棚へと移動する。 移動した先には見知った顔が先客としていた。 クラスメートで学級委員の額田である。 額田は俺の存在に気が付くと声をかけてきた。 「あら、聖沢君。こんな場所で会うなんて珍しいわね。誰かと待ち合わせでもしてるの?」 「単純に本を読みに来たとは考えないのか」 「聖沢君が? ないでしょ」 笑いながらあっさり言われた。 よく解るな。 テレパスか?
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