第二章

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そのまま肯定するのも癪なので、俺は見栄を張る。 「俺は週に一回は文学に触れると決めているんだ」 「へえ。じゃあ今日は記念すべきそのスタートの日なのね」 見透かされていた。 「今日は一日どこかぼんやりしてたじゃない。てっきりラブレターでももらったのではないかと勘ぐっていたのだけど」 こいつはやっぱりテレパスなのか。 だが待て。 あれはまだラブレターと決まったわけではない。 「その予想は残念だが外れだな」 「あらそうなの。本当に残念」 楽しげな表情をして、ちっとも残念ではなさそうに額田は言った。 「額田はその本、全部読むのか?」 俺は額田の腕に抱かれている数冊の本を見ながら訊ねた。
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