第二章

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「ええ、そうよ。一度には読めないからもちろん借りるつもりだけど」 「額田に読書の趣味があるなんて知らなかったな」 「まあ教室じゃあまり読まないからね。でも本を読むことは楽しいわよ。自分の知らなかった世界や知識を知ることができて、物語を作った人の価値観や哲学を垣間見ることができる。なかったものがあるように感じられるようにもなるし、あったものが形を変えていくこともある。とにかく素敵なことよ。聖沢君も色々と読んでみるといいわ」 「なら何かオススメはあるか?」 「そうね、それならこの本はどうかしら」 額田は自身の抱え込んでいた本の中から一冊の文庫本を取り出して俺に差し出してきた。 俺はそいつを受け取る。 「これはどんな話なんだ?」 「強いて言うなら絶望から救いの希望を見出すことのできる物語ってところかしら」
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