第二章

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「ほう」 なかなか興味深い。 読んでみようという意欲が湧いた。 「……でも良い時代よね。こうやって当たり前のようにたくさんの本が棚に並べてあって、静かにそれを読むことのできる空間がある」 額田が遠い目をして言った。 「は?」 「ところで赤司さんは元気?」 「まあ、健康状態は無駄にいいと思う」 「髪の毛の色はどう? 改善されたの?」 「いや。美容院に行って一度は黒くなったんだが、今朝起きたらまた白く戻ってた」 「そうなんだ……」 「一応病院に行って診てもらえと言っているんだが、本人に全くその意思がないからどうにもならん」 「まあ、病院に行って何も分かりませんでしたって言われてもなんだか損した気分になるし、仕方ないかもしれないわね」
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