第三章

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夕日でオレンジ色に染まる静かな教室。 その中で俺を待っていたのはなんと見知らぬ男だった。 男は同じ港尾高校の制服を着ているもののワイシャツはよれよれで汚らしくブレザーは持っている様子もなく行方不明。 しかも校則で禁止されているはずのピアスを堂々と両耳につけており、猫背をさらに丸め教卓の上に座り、棒付きキャンディーを真っ黒い唇で音を立てながら吸ったり舐めたりしていた。 金色に染まった髪は根元が黒くなっていてプリンのようである。 もしや灯のプリンのメールはこれに対する伏線だったのか!  なわけない。 その男を一言で表すなら、異形。 人を見た目で判断してはいけないと言うが、仕草や顔つき、どれをとっても薄気味悪いとしか思えなかった。
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