第三章

3/36
前へ
/144ページ
次へ
本当にうちの生徒か?  俺が疑問を抱きながら廊下から様子をうかがっていると、男と目が合ってしまった。 ねっとりとした笑みを浮かべ、男が手招きをする。 「どうしたんだい。早くこっちへきなよ」 男にしては高めの声で呼ばれた。 俺が教室に足を踏み入れると、男は教卓から降りて俺と向かい合った。 こいつ、左目の下に泣きボクロがあるなと俺はいらんことを発見する。 「俺を呼んだのはあんたか」 「そうだよ。キミに用事があってね」 「一体俺に何の用だ」 俺は警戒心を強めながらぶっきらぼうに訊ねる。 「ところでさ、どうだ? この服。オレもキミらと同じコウコウセイに見えるかい?」 不敵な笑い顔そのままに、男はワイシャツを撫でながら言った。
/144ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加