第三章

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自身の反射神経が全力で仕事をしてくれたおかげで俺は男の指先から放出された銀色の光線のようなものをすんでのところで躱すことができた。 あまりの出来事に俺は驚いて尻餅をつく。 もちろん本当に光線なら反応なんて出来るわけがない。 男の指先を始点に、俺の首があった位置を通過して壁に張り付いているのは糸状の物質。 これは……蜘蛛の糸?  こいつ、何者かという以前に人間ですらないのでは?  そんな予感に俺は悪寒を覚えた。 つーかどうしてこうなった。 なぜ俺は高校生のコスプレをした不審者に日頃勉学に励んでいる教室で襲われなくてはいけない。 誰か俺に教えろ。 そしてついでに助けてくれ。 「お前、俺に何の恨みがあるというんだ」 俺は立ち上がりながら、打開策を練るための時間稼ぎも兼ねて訊いてみた。
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