第三章

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俺が不自然に思い様子を窺っていると、灯はいきなり俺にみかんを投げつけ 「人がせっかく心配してるのに大志はそうやってすぐわたしを頭の弱い子みたいに言うんだから! ばか、この腐ったみかん!」 そう捨て台詞を残し、どかどか足音を大げさに立てて大股でリビングを出て行ってしまった。 「やれやれ」 俺は床に転がったみかんを拾い上げ、息を吐く。 まあ正直、あまり誠実な対応ではなかったかなとは自認している。 真面目に心配してくれた灯をからかって追い払ったわけだし。 だが……。 一つ言わせてもらえば、賢い子はきっとパジャマで外を出歩いたりはしないのである。
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