――序章――

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強烈な痛みを伴い、ベットから飛び起きた。昨日は酒に身を任せてフラフラしてたし、調子に乗ってやってしまったのかもしれない。ブロンドの髪を寝癖でくしゃくしゃにした三十路も近付いた男は声にならない叫びを上げた。朝五時、辺りは皆寝てるだろうし、声を荒げることは良くない。それくらいの冷静さはあった。 しかし、自分は何をやってしまったんだろうか? 彼は自分の右手の甲にできてしまった謎の刺青らしきものに驚きを隠せない。一瞬にしてげっそりしてしまった男は、自分が裸であることを忘れて、自分の部屋を出た。 ――――― バチン!! と壮絶なビンタを貰った男は左頬の紅葉をさすり、自分の部屋で淡々とした服装へ着替えている所だ。赤い瞳に生気は既に無い。何故自分がこんな目に会わねばならんのか、と項垂れきっていた。 「せ……、先生。お、お着替えなさりましたか?」 ドアをノックする可愛らしい声。彼の身の回りの世話を行う助手である。 「ああ、良いよ。入って」 「さ……、先程は申し訳ありませんでした」 「良いよ。裸だった俺が悪いんだし」 コソコソと入ってくる背の低い、クリッとした茶色の瞳の少女。目に涙を浮かべ、本当に悪いと思っていることは確認出来た。茶色い髪をショートカットで、前髪をお河童にした彼女は、何やら封筒に入った手紙の様なモノを差し出していた。 この時代に手紙等珍しい。そう思いながらもその手紙を受け取る。 「今朝、ドアを突く大きな鳥が置いていっていきました。一体何なんですかアレは。魔術にもあんな使い方あるんですか」 そう思ったのは彼女も同じ様で、頭に幾つかハテナマークを浮かべている。 というか、送り方も異常だと思ってしまった。彼女も同じだろう。でなければ、こんな質問などしまい。 封筒の頭を契り、中の紙をつまみ出し、本文を読み始める。先程から彼女の質問が続いてるが、無視だ。興味ない。と言うより、こっちのが興味深い。 それに彼女を弄ることは楽しいし。
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