捨て猫

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束縛も酷かった 男子と一言でも喋ってはいけなかった。 もちろんメールも 今思い出しても血の気が引くのがわかる。 「桜ってさ石上くんの事好きやろ?」 意味がわからなかった。 「なんで?」 「めっちゃメールしとったけん」 私が佑樹の家に居るとき 佑樹は気づかないうちに 私の携帯のメールフォルダを勝手にみていた。 しまった… 私のフォルダは ・受信フォルダ ・佑樹フォルダ ・石上フォルダ に分かれている。 石上拓海 当時男友達の中で一番信用していた 佑樹についてもいろいろ相談に乗ってくれた 数少ない陰から支えてくれた友達のひとりだ 「好きじゃないよ うちが好きなのは佑樹だけだもん」 「でも石上くん絶対桜の事好きやろ 普通こんなに女子にメールせんやろ 井原が好きなら 井原とメールしとけって」 「ごめん…」 それから謝ったりいろいろしたが 佑樹の怒り、嫉妬が治まる事はなかった 「もういい 桜と別れて石上くんボコりにいく」 とまで言い出した 「わかったから! もう絶対せんけん! そんな事せんで!」 たしかそんな事を言った なんども似た言葉を言った やっと落ち着いて 「ごめん 俺ほんとに桜しかおらんっちゃん 大好きやけん」 って言われた時には涙が出た。 私はもう狂いきっていた。 ひどい言い方だが 従順な性欲処理機 と言う言葉がぴったりだった。 そんな中私は毎年行っている 臨海学校(キャンプ)に参加した 何をしてても佑樹へのメールを途絶えさせる事はなかった しかしキャンプの中で 火の女神をやらなくてはならなくなった もちろん携帯は弄れない その結果予想通りだった 理由を話しても許してはくれなかった そして冒頭に至るのだ
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