段ボールからみた世界

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あれから数日 私の体は確実に彼を拒んでいた。 彼の姿を見ただけで 吐き気を催す様になった 体が、脳が、私の全てが彼を拒んでいた。 それに耐えて1週間位が過ぎた。 ある日 瑞希が佑樹にコクられた 聞いた瞬間固まった。 それはそれは、お早い事で 実際私と付き合っていた頃から 瑞希の名前をチラチラだしていた。 分かりやすく… 認めるのが怖かったから そうだよって言われるのが怖かったから 気づかぬフリをした。 でも別れる前にシた時 タオルで目隠しと手を拘束された しかも後ろ向き。 「SMかよ…」 なんて最初は冷静にツッコンでいた すると、 私と違って 佑樹は正気を失っていたのだろう。 「井原…」 と言ったのだ。 とても小さな声だったが確かに言った 瑞希の名を。 だから そうなる事はだいたいわかっていた。 わかっていても辛かった。 佑樹が 私を桜としてではなく、 瑞希として私を愛していた。 一気に自分の体が汚物に見えた。 汚い、汚れた身体。 二度とやり直せない過去。 その日、 私はお風呂で体を何度も洗った。 洗っても落ちない彼の感触。 気持ち悪い… 私は一生 この感触を背負って生きてくのか 実際2月11日現在もわかる… 腕、肩、胸、お腹、足… 「気持ちわる汚物やね…」 鏡の自分に何度も言った。 その時 もう彼氏が出来てもHはしないと誓った。 私はともかく 相手が辛いだろうと思った。 もし、 不意に思い出して 拒否反応が出たらどうしよう もし、 佑樹を引きずっているって 勘違いされたらどうしよう 傷つくのは彼だ… 周囲からみたら 下らないかもしれない。 だけど大切な人は傷つけたくない… だからそう誓ったのだ。
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