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すると、ドア付近に別の人の気配がした。
「おはよう、芽惟、いぶき」
聞き覚えのある、落ち着いたその声――笑顔の芽惟が、弾んだ声を上げる。
「おじさま!久しぶり」
「ホントだね、芽惟」
"おじさま"――煌のお父さんは、芽惟の頭を撫でながら、僕を見て微笑んだ。
幼い頃からとても世話になっている人だが、最近は会う機会がなく、約一年ぶりの再会。
相変わらず、格好いい人だ。
同性なのに素直にそう思う。
「しばらく見ないうちに、大分大人びてきたね。二人共」
「そうかな」
「いぶきはお父さんに似ていっそうハンサムになったし、芽惟は……」
おじさんは、傍らの芽惟をじっと見つめ、
「…綺麗になった」
と、囁くように言った。
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