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『え~最近、通り魔事件が日本各地で起きてるそうなので…』
先生の声は聴こえる。
何を言っているのかは知らない。
『手紙を配るので、親に見せるように。』
(え~ブキミ~)(親に見せんのかよ~)
「親、か。」
ボソッと呟く。
「そか。黒タンは親がいないんだよな…」
「あ?なんだよ、真田。」
俺の前の席の"真田 数(さなだ かず)"だ。
黒タンってのは俺のあだ名で、本名は"黒井 尚太(くろい しょうた)。
俺には"親"がいない。
父は事故死、母は父方の祖母の家に俺を捨て、行方不明。
別に母を恨んでいない。
"元々いない"と考えてるから。
今は、祖母の家に住んでいるが祖母は既に他界。
周りの人に支えられ、生きてきたが、その"支え"すら無くなりつつある。
近くに、祖母の家は売り出すつもりだ。
「―――ろタァ~ン。黒タン。」
「んあ?わりぃわりぃ…。何だ?真田?」
ボケーっとしてた…
「いや、呼んだだけ。」
ケロッと言う真田。
「じゃあ呼ぶなよ……」
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