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病弱だった私は学校にもあまり行けず、いつも自分の部屋のベッドで横になっていた。
そして私には月に一回の習慣があった。
あぁ、今日も来た。
いつもと同じ時間帯、いつもと同じ道、いつもと同じ白い車体、いつもと同じエンジン音。
窓を挟んだ向こう側の道を白い「らんえぼ」が走り抜けた。
あの頃はあの白い車が「らんえぼ」と呼ばれていることぐらいしか分からなかった。
私は雲一つない快晴でも家から出れないときもあるのにあの白い「らんえぼ」は雨の日も雪の日もいつもと変わらず走り抜ける。
私はいつの間にかあの白い「らんえぼ」に、そしてそれを運転している彼(彼女かもしれない)に惹かれていった。
しかしあるときから、ぱったり来なくなってしまった。
結局一年が過ぎても白い「らんえぼ」は来なかった。
それから数年……
18歳になった私は、免許をとった。
免許を発行してもらい、家に帰って来たときに……
数年前から来ていなかったあの白い「ランエボ」が隣を駆け抜けた……
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