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「…………未夏さんいないの?」
午後の授業も消化し、早速会って話そうと隣のクラスに向かったがどうやら居ないらしい。
まいったな………今日みたいに吹っ切れた状態で無いと絶対話せないし………。
「未夏さん、どこに行ったんだろ………?」
まさか既に帰ったのか?
「どう、加賀屋さんいた?」
後ろでニヤニヤ笑っている終が肩を叩いてきた。
振り返ると終の指が頬に食い込んだ。…………小学生?
「授業が終わったらすぐにどこかに行ったらしい」
「ふぅん、大変だね」
他人事だけど、ここまであからさまに他人事だと少しイラッとする所がある。
「そういえば…………さっきの授業中、筆箱が無かったんだけど………」
終を睨み付けるが、清ました顔をしやがる。終が隠したんじゃないのか?
「…………あ、そういえば京介の筆箱を屋上で見たような気がする」
「待てこら、何故そこに隠した」
「やだなぁ、屋上にたまたま落ちてたのを見ただけだよ」
「筆箱がたまたま屋上に落ちててたまるかっ!!」
何で終はそんな陰湿な事をするんだ?
若干苛つきながらも俺は屋上へと走った。
京介が消え、1人残された終。
「こんなことでもしない限り京介は何も出来ないからね」
京介が消えた方を見ながら小さく笑う。
「さぁてお祝いパーティーの準備でもしておこうかな」
終は鼻唄混じりでその場を後にした。
筆箱を真上に投げながら………
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