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俺たちはショッピンモールへ向かい、萌芽と試行錯誤しながらなんとかプレゼントを見つけ出した。
そして今は帰宅途中。ちなみに服はあの時すぐに大きく振りかぶって捨てている。
「萌芽」
俺の唐突な呼び声に萌芽は体を少しびくりとさせた。
「ど、どうしたんですか急に」
「いやたいしたことじゃないんだけどさ。なんやかんやで今日は助かったからありがとうって」
「ふっふっふ、構いませんよ。後輩を助けるのは先輩として当然!いや、義務教育レベルのことをしたまでですよ」
「あ。そういや先輩だった」
すると露骨なほど目を大きく見開き驚いた様子を見せた萌芽。
「そりゃ確かに前から君は敬語じゃなくて友達感覚の喋りでしたけど、まさかその設定を忘れてるなんて………うっ、悲しいです」
そう言って嘘泣きする萌芽の頭を軽く叩いた。
「バカなこと言ってないで早く帰ろう」
「……バレてましたか。僕は逆に嬉しいですよ、あなたと友達みたいに話せて。敬語というのは距離を少し感じますから」
ニッコリと笑った萌芽に俺は照れ臭くてそっぽを向いてしまった。
「~ってことがあってさ、そしたら終がダルマを燃やして猫と森に行ってマツボックリを拾い出したんだよ」
家に帰り時刻は9時になろうとしている。そんな俺は未夏と電話をしていた。
『………』
未夏は電話越しでも無言が多くたまにうんとか言う程度だが、詩歌曰く未夏では電話越しなのに頷いたりしているらしい。すごく可愛い。
「そういや未夏。明日のことなんだけどさ、未夏の誕生日」
電話越しから小さな吐息が漏れたのを感じた。
「その……さ。もしだけど家族との予定がないな」
『いく!!』
食い気味の即答に思わず笑みがこぼれた。今まで無言(頷いてたかもしれないけど)だったのにいきなり叫ぶんだから。
「ありがと。じゃあ明日は日曜だし、ぶらぶらと街を歩こうか」
『…………でーと?』
「まぁ………世間的にはそう言うのかな」
そこは素直にデートと言おうぜ京介!!いやウブだから無理だ。
『……….』
電話では無言だが、おそらく頷いてくれてるんだろう。
「じゃあ、また連絡するよ」
『まってる』
そうして電話が切れた。ああんカワイイ。
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