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街1番のデカイ本屋にやって来た俺たち。未夏は迷うことなく小説コーナーへと向かっていった。
「俺ならマンガコーナー一直線なんだけどなぁ。何が欲しいの?」
未夏はじっと本を見つめ、何かを探していた。俺は小説は罪と罰くらいしか読んだことない。でも意味が分からず半分くらいで読むのやめた。
やがて少し迷って手に取ったのはミステリー系だった。おお、意外意外。
「りゅーすてりーこーしゃく!がーがれっどきょーこくのなぞ!」
ちゃんと言えば、『リューステリー公爵 ~ガーガレッド峡谷の謎~ 』という本です。
「明らかに続編だけど、今までのやつもみんな持ってるんだ?」
頷く。てっきり恋愛系のライトな小説を探してるかと思ったらミステリーだ。まったく、未夏(ロリ)は最高だぜ!
「未夏がミステリー好きなんて意外だよ」
「さいしょ、すきじゃなかったの」
「そうなんだ。じゃあどうして?」
「おうちにたくさんあったから。よんでたらおもしろかった」
ふぅん、家にたくさんあったのか。ミステリーをいかにも好きそうなのは………
「未夏のお母様がミステリー系好きなんだね」
すると意外なことに首を横に振った。
「おとーさん」
「へぇ、そうなんだ。そういやまだお父様とは会ってないや」
一瞬、未夏の顔が少し曇ったのを感じる。そこからどうしてか未夏は黙り込んでしまった。
お父様の話はもしかしたら地雷だったのだろうか?もうこの手の話はよしとこう。
未夏は小説、おれはマンガ本を買うと店を出る。目的地はここから少し遠いが、美味しいと評判の喫茶店だ。
「ごめんね少し歩かせて。ここ美味しいって評判だったから来てみたかったんだ。あと、ケーキも絶品だってよ」
未夏は大丈夫と首を横に振り、目をキラキラ輝かせていた。あぁ……召し上がりたいです(意味深)
少し隠れ家的な雰囲気漂うそのお店に入ると、いかにもなカランカランという音が響く。それに対し彼女は少しびっくりした。
腰を落ち着かせ、5分ほどゆっくりしたあと注文をした。俺はナポリタン、未夏はドリアだ。
「………ねえ未夏。けっこう雰囲気いいと思わない?」
首をコクコク頷く。気に入ってもらえたみたいで安心した。
笑いかけると、未夏は赤いほおを隠すようにうつむく。目は見えないけど口角が上がっているのは見えていた。
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