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「このあとはさ。少し連れて行きたい場所があるんだ」
その場所というのは以前詩歌から聞いたいわゆる『未夏が確実に喜ぶ店』らしい。
でもその場所が?って疑問が残るほど特別な場所でもない、普通の所だった。
「お待たせしまし………あ?あら、あなたは………」
ウェイトレスを見つめるとなんとそこには宇佐美先輩がいた。あ、この人は以前終をストーキングしていたヤンデレの美人さんなのです。なのです!
「久しぶりね。終は元気?」
普通こういう会話はまず俺たちに対しそれを言うんじゃないの?
「はい。相変わらず元気いっぱいですよ」
「あらそれは良かったわ。あの女狐はどうかしら?」
絶対詩歌のことを言ってるわこれ。同様に元気とだけ言っといた。
「加賀屋さんもお久しぶり。今日はデートなのかしら?」
未夏は嬉しそうにウンウン頷く。そして手を合わせてドリアを食べ始めた。フーフーしながら。
「……羨ましいわ」
いや、そんなこと言うなよ。どんな返事すればいいか困るだろ。
「そ、そういえば宇佐美先輩はここで働いているんですね。いや~世間は狭いな~………あはは」
強引な話題転換に宇佐美先輩は少し眉を細めつつもその話題に乗ってきてくれた。
「ええそうよ。なんせ給料がいいんですもの」
「………どのくらいですか?」
「12を2乗して、それに8を掛けてさらにそれを348を足した数字が私の時給よ」
「いや分かりにくいわ!そんなの計算したら………………えっと……………1500円!」
「その程度の計算に4096の1/4乗秒かけるなんて遅いわよ」
「だからなんでそんなに分かりにくいんですか!?」
もうやだ。大人しくナポリタン食べさせて……
「その程度の頭の人が終と友達なんて私許せないわ。絶交しなさい」
「母ちゃんですか」
「………まぁ元気そうで良かった。あ、あなたじゃないわ終のことよ。それじゃ」
知ってる。そう言って去って行く宇佐美先輩を尻目に追いながらナポリタンをようやく口に入れた。あら美味しい。
うーん何か足りない………。あ、そうだ。
「すみませーん。チーズをもらえませんか?」
そう言うと奥から再び宇佐美先輩が現れた。
「お待たせしまし………あら、あなたは……」
「またふりだしからかよ!」
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