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とりあえずうるさいので休憩室に連れて来た。
「嘘ですよね!!?だっておじさんの娘って死んだはずじゃ………てゆうかそれ以前にカガミンがおじさんの子供なんですか!!?」
「死んだ?僕そんなこと言ったかな?」
「い、言ってはないですけど。でも!いつも話を聞いてる限りだと完全に故人みたいな言い方や態度をとってたじゃないですか!!」
「え?そうだった?」
「ムキ~ッ!!なんですかおじさん!今まで僕が気を遣っていた労力返してくださいよ!!」
白い萌芽は今、赤い萌芽になっていた。
「……分かりました。そこはもう良しとしましょう。僕も鬼ではないですからね」
なんで許してやるみたいなニュアンスになってるんだろう。
「それよりカガミン!このおじさんの子供って本当なんですか!?嘘つかないでくださいよ!?」
ゆさゆさ揺らされながら未夏はウンウン頷く。『マジかよ』っていう萌芽らしくない小声が聞こえた。
はぁ、と深いため息を吐き萌芽は倒れ込んだ。休日も忙しいやつだな。
「世間……狭すぎでしょう」
「うん。それは俺も今日改めて思った」
とりあえず萌芽が落ち着いた所でおじさんは立ち上がった。
「ちょっと用事があるから萌芽ちゃん店番頼んでいいかな?」
「防犯しろっていったばかりでそれですか。やーですよー」
「店番してくれたら5回分ツケを無しにしよう」
「喜んでやらせて頂きます。ではいってらっしゃいおじさん」
代わり身の速さに脱帽していた時、おじさんと視線が合う。
「未夏も、京介くんもゆっくりしてってくれ。すぐ戻ってくるから」
ニコリと笑うとおじさんは出て行った。
「まったく……まさかおじさんの子供が生きてたなんて。それにその子供がカガミンですか」
「妄想乙」
「今はアイキョウと争う気になんかなれません。君たち適当に部屋使っていいですよ」
「いいのかよ勝手に」
「いいですよ。それに、おじさんもきっとそう言ったと思いますよ」
レジ前でうなだれるようにしながら、手であっち行けと俺たちにジェスチャーした。
俺と未夏はけっこうデカめの個室があったからそこに2人で入ることにした。おお、なんて素晴らしいんだここは!
萌芽曰く、ここには水しか置いてなくドリンクバーなんてものはないらしい。かなり愚痴っていた。
「未夏、お父さんに会えて良かったな」
頭を撫でると、身体を俺に預けてきた。
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