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「チーちゃんいらっしゃい。お久しぶりね~」
「遅くなって申し訳ないわヨシちゃん。久しぶりね」
無事(?)さも当たり前のようにうちの母親が到着し、お母様と未夏に挨拶をする。俺を見て口パクで『ソーリー』は流石にイラっとしました。
「じゃあ私ヨシちゃんと料理の手伝いやるから、京介は未夏ちゃんと一緒にいていいわよ」
「うん。そうする」
そうして2人でテレビを見ながら話をしていると、またインターホンが鳴る。
「こ、こんばんわ~…あはは」
来てくれたのは顔が引きつっている詩歌とその恋人の終、そして何故か寝巻き姿の萌芽だった。
「なんでそんなに緊張してるの?」
「そ、そりゃあそうだよ!初めて行く家ってなんだか緊張しちゃうじゃん!」
俺の問いに顔を真っ赤にしながら答える詩歌。横で萌芽があくびをした。
「何故寝巻きなんだよ」
「そりゃもう夜だからです。自然なことでしょう?そう、コーラを飲んだらゲップをするくらい確じ…」
「はいはい。とりあえず中に入ってー」
「むぅ、せめて最後まで言わせてくださいよアイキョウ」
だが断った。
「まぁまぁみんな。それよりまず未夏ちゃんに言うことがあるんじゃない?」
終の言葉に詩歌もハッとしたように頷いた。萌芽も『言おうとしたらアイキョウに邪魔されました』とのこと。はいはい悪かった。
「「「誕生日おめでとう(ございます)未夏(カガミン)!!!」」」
夜のしんみりした感じに合わない程の嬉々とした3人の声に、俺はまるで外が明るくなったかのように一瞬感じた。
未夏は嬉しそうに頷き、3人一人ひとりに抱きつきお礼を述べる。終と萌芽が俺を見つめドヤ顔をした。
俺はこんなことで一々嫉妬するほど心に余裕がないわけじゃない。残念だったな(メタルマン風)
「ほら、いつまでそんな所にいるの。早くリビングへいらっしゃい」
未夏のお母様の言葉に全員がハッとし、すぐさまリビングへと入った。
3人はそれぞれうちの母さんと未夏のお母様に挨拶をし、座布団へ腰を降ろす。
そこから料理はあっという間に出来て、俺らの前に置かれる。そして奥からイチゴがたくさん使われたケーキが姿を現した。
早くもヨダレを垂らしそうな未夏が、フォークを持って食らいつくように見つめている。
「これは最後だよ」
「!?、さい…ご………?」
露骨に悲しげな顔をされた。本当に申し訳ない(メタルマン風)
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