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「どこにもいなかったよ~。え?鬼!?」
室に入ってきたレオンは目の前にいた鬼・・の仮面をつけたムサシを見て驚いたようだった。
「レオン、これを鬼に投げるんだ。あと投げるときの掛け声は「鬼は外」な。」
あずまから渡された豆をレオンが力いっぱい掛け声と共に鬼に投げつける。だが・・
『鬼』は飛んできた豆に、仮面を少しずらし口元を晒すとそのままかぶりついた。
ムサシの食欲旺盛さを忘れていた、と内心で頭を抱えるあずま。
「どうしよう!豆食べてる、きいてないよお兄ちゃんっ」
レオンが眉を下げてあずまに不安げな視線を送る。
「~っ鬼、豆食うなアホ!」
持っていた豆を思い切り投げつけてやるが鬼は素晴らしい身体能力で器用にすべての豆に食らいついた。
その身体能力を戦闘に生かせ。
「バットお兄ちゃん、どうしようっ」
それまで我関せずを決め込み読書を楽しんでいたバットはレオンの助けを求める声に視線を向けると、そっと懐から小刀を取り出しレオンに握らせた。
「・・豆がきかないなら、これを使え。」
「レオンくんになんてもの持たせているんですかっ!」
物騒すぎるバットの思考からなる行動にセレが慌ててレオンから小刀を取り上げる。
それまで投げられるすべての豆を食べていたムサシは、バットの提案に身の危険を感じたのか急に地面に転がり苦しむふりをはじめた。
「レオン、攻撃きいてるぞ、大丈夫だ。」
あずまの言葉にレオンは鬼をみて顔を輝かせた。
「あれ、本当だ!」
「多分豆食ったから中から攻撃食らったんだな、今がチャンスだぞ。」
なんとかムサシの先程までの奇行をフォローしてあずまがレオンに言う。
「うん、鬼は~外!」
レオンが鬼を退治しようと豆を投げつけると、ムサシはおおげさに苦しんでみせた後そのまま倒れた。
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