第1章「恐怖」

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「…明日、新しい患者がこの病室に入院してくるの。」 私はびっくりして、何がなんだかわからなかった。 すると看護師はまた話し出した。 「一人の方が気楽なのにね。」 そう言うと、看護師の顔がニヤッと笑っているように見えた。 その時私は、背筋がゾッとした。 何を言ってるんだろう。 「…。」 私が黙っていると看護師は、静かにベッドから立ち上がり 病室を後にした。 私は看護師が出ていったのを確認して、ため息をついた。 「私にとっては嬉しいのに…。」 これまで私の見方だった、看護師。 なのに今日は、恐怖を感じた。 誕生日も…。 クリスマスも…。 正月も…。 一人な私と一緒に祝っていたのに…。 こんな恐怖を感じたのは、初めてだ。 母は仕事を何個も掛け持ちをしているから、 看護師は母のかわりをしてくれている。 …あれ? …名前は何だっけ? 確か…。 やま…何だっけ? …どうでもいいか。 でも、新しい患者は誰だろう。 子供? 大人? どちらにしろ、 友達になれたらいいな。 そう思い私は、フフッと笑い窓の外を見た。
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