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「どうした?」
「な、なんでもない」
不思議に思って尋ねると、彼女は興奮気味にそう言って、俺を押し退け先を歩き出す。
「……なんだ」
再び首を傾げると。ゆっくりと振り返る。
すると、廊下には黒タイツの華奢な両足をマッサージ機みたいにブルブル震わせる天草の姿があったので。
「変なやつ」
そう呟くと、嘆息。
重い足を持ち上げ、彼女の元へと歩き始めた。
雪はしんしんと降り注ぐ。
俺の歩みに合わせて。静かに。楽しそうに。
だけど何故だろう。
天草アリサは、泣いていた。
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