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「12月も、もう終わりね」
「だな。……あ」
「今度はまたどうしたの?」
俺は態勢を変えて両手を両膝の上に乗せると、真剣な視線で天草を射抜く。
「12月といえばさ……なんで師走って言うか知ってるか」
「え……?」
「ほら、"師"が"走る"って書くだろ。だから、先生が一番走り回る時期だからなのかなって俺なりに解釈してるんだけど、実際の所どうなのか気になって」
「……まぁ。それも間違いではないわ」
「それも?」
不完全燃焼的な答えに思わず眉をひそめると、天草は頷く。
「詳しくは分かってないのよ。 通説がたくさんあって。一番有力なのが、師匠のお坊さんがお経をあげるために東西を馳せる月と解釈して、『師馳す(しはす)』。それが転じて師走になったという説ね」
「……へぇ」
「!なによ中条くん」
「いや、良く知ってるなーって思ってさ」
普段目立たない彼女だが、定期テストが常に学年トップだったことは覚えている。
眉目秀麗で文武両道でおまけに眉目秀麗なのに目立たないはずはないのだが、何故か目立たなかった。
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