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「……なかじ」
「なぁ天草」
「!な、なによ」
刺々しい反応を見せる彼女に首を傾げながらも、特に気にしないことにする。
「……寒くないか?」
「え?」
「暖房切られちゃったしさ。……ほら」
上着を着せると、天草は困ったように瞬きして、俺を見る。
「……あなたは寒くないの?。その、セーターで」
「ん、大丈夫。それにさ、男はズボンの分があるから」
天草は怪訝な表情を浮かべると。
「……やっぱ変わってる」
そう呟いて、寒そうに身体を震わせながら上着を抱きしめた。
思わず笑みが零れて。
「……じゃあ、そろそろ帰るか」
「………えぇ」
「ついでに。近くに上手いおしるこを売ってる自販機を発見したからさ、それ奢ってやるよ」
「……いいの?」
「いいよ。俺がそうしたいから。ほら、行くぞ」
手を差し出すと、天草はオロオロとした様子で握ってゆっくり立ち上がる。
一瞬目が合うと、僅かに逸らした。
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