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三咲は恐る恐るその通帳を手にし、中の数字を確認して驚いていた。
「お姉ちゃんっ!?これっ!!」
言いたい事は何となく分かる。
「お前から預かってたお金、全てその中に入ってる。だからそれは、三咲に返すよ」
笑顔を三咲に向けると、三咲は通帳をテーブルに置き無言で立ち上がり私の側までやってきた。
文句でも言われるかと身構えたが、カバっと私の首に両腕を絡ませ、三咲が抱きついてきた。
顔は私の肩に乗っているから表情はわからない。
でも、その肩が震えている。
「お姉ちゃん…ごめ…ありがとう……」
その泣き声が愛しい。
私は三咲の頭を撫でながら囁く。
「幸せになりな」
パパ、ママ、三咲が結婚するよ。
花嫁姿、ちゃんと見にきてね…。
数ヶ月後、三咲は嫁いで行った。
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