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「これ…お前が結婚する時に渡そうと思ってたけど、今渡すよ」
私は勇に通帳と印鑑を渡す。
勇は訝しげに通帳を手に取り、中を確認する。
と、そのままフリーズした。
「あ、秋姉っ!?これ…これっ!!」
うん、兄弟だね。見事に三咲の反応と一緒だ。
私は笑いをこらえ勇に説明する。
「今まで勇が家に入れてくれてたお金だ。だからお前に返す」
勇は我に返り、私の顔を凝視する。
「姉ちゃん、ありがとう…」
消え入りそうな勇の小声が、耳に入った。
一ヶ月後、勇は独り暮らしを始めた。
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