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「ねぇ、かっこいいひといた?」
「絶対、彼氏ほしいよねぇー。」
周りがざわつく中、なんとなく耳に入ってきた女の子達の会話。
自分には関係のないことだと、聞こえないふりをする。
少し強めの風のせいで、美しく咲いた桜が勢いよく散る中、そんな会話を聞きながら、私は中学生になった。
春の始まりであった・・・・・・。
みなが浮き足立つ季節。
新しい出会い。
新しい環境。
そんなものに憧れを抱いたり、期待したりすることもなく、なんとなく新しい教室に足を運ぶ。席に座り、周りを眺め、やはりこんなものかと自分の予想に安心を求めようとする。
「恋?」
「私には要らないものでしょ?」
そう、何度も自分に言い聞かせてきた。
自分が今までで何回「恋らしきもの」をしたのかはわからない。
ただ・・・・・・、忘れられない。・・・あの言葉を・・・・・・。
「お前!汚いんだよ!!」
信じてた。クラスでも優しくて私にもいつでも声をかけてくれた男の子。そんな男の子にときめきを抱いた十歳の女の子だった私。
崩れてしまった。。。。。。
あの言葉を聞いた瞬間に崩れてしまったの。。。。。。
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