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「俺の席、ここであってるよね?」
「え?」
突然のことに思わずびっくりしすぎてしまった。
「白井さん?・・・だよね?」
「俺、山口!山口武(タケル)。」
「あの座席表だと、俺、白井さんの隣だから。」
「よろしくな。」
「う・・・うん。」
なんだ、隣の人か・・・・・・。
なんで、座席は男女隣でないとだめだと決まっているのか。おかげで余計な会話を増やしてしまったじゃない!!
まぁ、いいわ。ただの確認なんだから。私なんて誰も見向きしないでしょ。
卑屈になっていると言われればそうだろう。でも、実際に私の風貌は誰も見向きしないくらいひどかった。
放ったらかしにしているから、伸びっぱなしの長い髪。
眼鏡のレンズも厚く、どうみてもがり勉スタイルの顔。
唇は乾燥でかさかさ。
肌の手入れなんてしたことがないから、荒れ放題の皮膚。
スカートは昔のスケバンか!って思えるほど長い。
全身全霊で「恋」を否定。
大丈夫。・・・・・・これなら大丈夫だもん。
傷つくことを恐れている私はそうすることで、むしろ自分を守っているつもりだった。
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