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ーー私は佐川美佐、今日晴れて高校を卒業した。
したのは良いけれど、進学も就職も出来ずに今に至るには理由がある……あるんだってば。
「不況が悪い」
高架下での呟きは、陽の耳に届いたのか『自業自得だろ』とあからさまに呆れてくれる。
「しょうがないでしょ、採ってくんなかったんだもん」
「ま、取り敢えず安アパートでも見つけるこった、おじさんにもおばさんにもちゃんと事情説明してさ」
それが難しかったりする。
実のところ、親にはもう言ってるんだけど『自分で蒔いた種位は自分で刈れ』と、仕送りまで停められてしまった。
そうでなきゃ頭抱えないわよ……
「なんだあれ?」
溜め息が溢れる寸前での声に目をやると、人だかりが飛び込んできた。
「行ってみようぜ」
「え、ちょ……もう」
人だかりは、パチンコ屋『銀玉会館』前に出来ている。
耳に飛び込んでくるのはその原因。
「パチプロとのガチバトルか……」
「素人のみのバトルロイヤルの優勝者が……」
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