◆-Ⅰ-◇

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<副会長:吉乃 視点> 『あんた、そっちの顔のが自然。可愛いべっぴんさんだ 変に貼り付けた偽りの仮面より俺はそっちのあんたが好きだよ』 …柄にもなく 取り乱してしまった キスなんてし慣れていたのに 笑顔を作るのだって簡単だったし完璧だと思っていたのに フードを被った顔も見えない怪しい彼に、何故か… 何時もの様に仮面を被ることが出来なくて それどころかペースを乱されて 赤くなる私の顔が面白いのか彼が様子を窺うように覗き込んできた時にフードの中からサラリと落ちてきた髪が気になって無意識に手を伸ばしていた フードを掴んでゆっくりと脱がす 現れたのは 明るくキラキラ光るアッシュグレイの髪に前髪半分と右サイドだけ対照的に暗いショコラ色…変わった髪型 なのにそう思わせないのは彼の容姿が今までに見たことがない程整った顔立ちをしているからで… 英国人形の様に 逸らせない…彼の目から 「その目は…本物ですか?」 輝く宝石よりも 美しい ヴァイオレッドの両目 光の加減で キラキラと光り、色を 変える… 『ホンモノ』 「綺麗、ですね… 貴方に凄く、似合っています」 『ありがと、副会ちょー あんたの方が綺麗だけどね』 そうやって 笑う彼に、ドキリと 胸が鳴った気がしました 綺麗に笑う人だ… 綺麗と言っても 自分で言うのも虚しいですが… 私と違って女顔ではなく 鼻筋が通っていて 美形寄りの 顔立ち 身長も 私より高い 『副会ちょー?』 笑うと綺麗で 私に壁を作らせず、 何を考えているのか 全く予想のつかない 『怒った??』 見えた容姿は 作り物の様に 美しく 笑った顔は綺麗で おどけた様に話す彼を もっと知りたいと 思った 「榎月君」 『んー?あれ、怒ってない??』 「どうして怒るのですか? それよりも… 私の事は 役職名ではなく 名前で呼んでくれませんか?」 『名前?』 「はい。貴方と、距離を 感じたくなくて… 駄目、ですか?」 『駄目』 「っそうで『俺だけ名前で呼んでも距離は変わんないでしょ』…え」 『だからさぁ呼んで? 俺も深國って』 あぁ、彼は本当に 綺麗な笑みを浮かべる… そう言って笑う彼に 「みく、に…」 会ったばかりの彼に 『うん。良くできました 吉乃はいーこ♪』 また笑って 私の頭を撫でる 彼に 惹かれていく ‡
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