◆-Ⅰ-◇

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白く清潔感のある外壁に 3メートル以上はあるであろう 装飾の施された厳重な門 その外側に立つ影が2つ 外部からの訪問者である その内の1人が門をみて 笑みを浮かべる 『此処が今回のClientがいる "黒珠学園"かー。 学校なんて何時振りだろ ねぇアヤ?』 耳に心地好いテノールボイスを 楽しそうに弾ませ 隣で肩を並べる"アヤ"に 話しかける 彼の名は 榎月 深國[カゲツ ミクニ] 黒珠学園の制服を お洒落に着こなす モデル顔負けの 容姿とスタイルで 城の様な外見の建物の前に 居ても自然と違和感がない。 この場面だけを見るものは ここは西洋だと言われても 疑いを持たぬ程に そして アヤと呼ばれたその男からは 返事が返って来ない けれども門を 楽し気に見上げる彼には 届いていないのか はたまた 何時もの事だからと 聞き返さないだけなのか 話を続ける 『そんじゃぁ… コレ、上りますかぁ~』 3㎡もある門を 男は上ると言う。 さも自然に、悩む素振りもなく 彼はアヤと呼んだ男に向け にっこりと笑う
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