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「ねぇ、亮太、今朝のニュース見た!」
まだ眠いと教室の机に突っ伏していると、幼馴染の桜井千花に無理やり起こされる。
顔をあげると、人懐こい笑みの色白な千花の顔が目の前にあった。僅かに茶色い肩下まで伸びた髪からは、ほのかにシャンプーの香りがした。
「近い」と答えると、千花はつまらなさそうに向かい合う様にして椅子に腰かけた。窓から差し込む朝日が、染めていても痛んでいない髪に天使の輪を作っていた。
「亮太、反応薄。普通、うわ! 千花ちゃんの可愛い顔が目の前にある! とか言って、顔赤くするとこでしょ」
「アホか」適当に聞き流しながら欠伸をして後頭部を掻く。
俺の繊細な脳はまだ眠いと言っている。反対に、目の前に座っている千花は朝っぱらからハイテンションだ。特に今日はいつに増してうるさい気がする。高三になったのだから少しは大人しくなれ。
「で、今朝のニュースがどうかしたのか? 悪いが俺は見てないぞ。そんな時間があるなら寝てる。なくても寝るけど……」
「さすが高橋亮太。相変わらず寝坊助だね。今朝のニュース、口裂き女だったんだよ」
「あぁ、また例の通り魔か。美人の女性ばかり狙ってるんだっけ。犯人はよっぽど顔が酷い奴なんだろうな」
「そんなことないよ!」
自信あり気に言う千花。まるで犯人を見たことがあるかの様に。
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